フル稼働で、利益はいくら残る?
こんにちは、八木です。
今回は、
「フル稼働を目指す」と「利益を最大化する」は意味合いが異なる
というお話です。
最近、ある会社で、
「フル稼働できたら、いくら利益が残るか?」
を試算して、ディスカッションしました。
事業計画を作りながら、社長の「もしこのままフル稼働できたら、どのくらい利益が残るのか?」という疑問がきっかけとなり、具体的な数字に落とし込んでみました。
数パターンを試算した結果を一緒に見ながら、幹部も交えてあれこれディスカッションをしたところ、
- 今の延長線上でフル稼働できても、思ったほど利益は残らない!
ことがはっきりし、
- いま集中すること、次のステップで取り組むことが明確になった
- 今後の事業運営で活かせそうな、様々なアイデアが生まれた
- 経営陣と現場責任者との間で、考え方を共有できた
といったメリットを感じることができました。
製造業や運送業、不動産賃貸業など、保有する資産を動かすことで利益を生み出している会社や、士業・コンサルなど人の活動で利益を生み出している会社など、設備や人材などを固定的に抱えたビジネスの場合には、参考になるのではと思います。
以下では、参考に簡略化した例を記載してみました。
(製造業)機械1台をフル稼働させる場合
- 自社が保有する機械で製品を加工している製造業
- 固定費1,000円/日
- 稼働時間24h
- 簡略化するため、前後の工程やランニング費用、労務費などの変動費はないものとして考えます
現状は・・・
- 加工単価100円
- 加工時間2h
- 1日当たり加工可能数24h÷2h=12個
- 現状の加工数9個
- 9個×100円=900円
- 900円-固定費1,000円=利益△100円(赤字!)
成り行きでフル稼働できた場合・・・
- 加工単価100円
- 加工時間2h
- 1日当たり加工可能数24h÷2h=12個
- 12個×100円=1,200円
- 1,200円-固定費1,000円=利益200円
意外と利益が少ないような・・・
もっと加工単価をとれる製品にできたらどうか?
- 加工単価100円→120円
- 加工時間2h
- 1日当たり加工可能数24h÷2h=12個
- 12個×120円=1,440円
- 1,440円-固定費1,000円=利益440円
利益が倍増!
製品設計や加工方法を見直して加工時間を短縮できないか?
- 加工単価100円(最初のまま)
- 加工時間2.0h→1.5h
- 1日当たり加工可能数24h÷1.5h=16個
- 16個×100円=1,600円
- 1,600円-固定費1,000円=利益600円
利益が3倍に!
加工単価を上げて、加工時間も短くできたらどうか?
- 加工単価100円→120円
- 加工時間2.0h→1.5h
- 1日当たり加工可能数24h÷1.5h=16個
- 16個×120円=1,920円
- 1,920円-固定費1,000円=利益920円
利益が4.5倍に!
これくらい利益を出したい!
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これを受けて、あなたならどういう方針を立てますか?
- まずは短期での黒字化を優先して、単価100円のままフル稼働を目指す
- フル稼働させてから単価や加工方法を見直すのは難しいので、単価引き上げや時間短縮も変更して取り組む
実際には、どちらもあり得るかと思います。
大事なのは、将来の見通しを立てた上で決めたることではないでしょうか。
今回は、
「フル稼働できたら、いくら利益が残るか?」
という観点から、将来目指す理想の状態を具体的な数字に落とし込むことで、自社の収益構造を数字やプロセスで分解して見つめ直し、様々なアイデアを生み出す方法をご紹介しました。
ちなみに、私が最近、実際に「フル稼働時の利益」を試算したのはタクシー会社です。
業界での常識に疑問を持つことが、将来の飛躍へのスタートラインですね。
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最後までお読みいただき、どうもありがとうございます。
あなたのビジネスを発展・成長させるヒントになれば幸いです。
株式会社C&Aパートナーズ
代表 八木雄毅