ワタベウェディングの再生計画_借入返済の考え方とは?
こんにちは、八木です。
前回の「ワタベウェディングの再生計画_債務免除額の決まり方とは?」の続編です。
同社の再生計画では、金融機関借入金185億円を、
- 91億円→債務免除(返さなくてよい)
- 94億円→2023~2030年の8年間で分割返済
に分けました。
(参照)W社プレスリリース
https://www.watabe-wedding.co.jp/library/pdf/corporate/ir/20210527_jp.pdf
この分け方(債務免除額)を決める視点として、
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①純資産の視点:計画3年目終了時までに実態債務超過が解消しているか?
②キャッシュフローの視点:今後のキャッシュフローから分割返済ができそうか?
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の2点を挙げ、前回記事では①を詳しくお伝えしました。
(参照)前回記事「~債務免除額の決まり方とは?」
ワタベウェディングの再生計画_債務免除額の決まり方とは?
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今回は「②キャッシュフローの視点」を解説します。
「①純資産の視点」から、3年以内に債務超解消するように逆算して債務免除額を決めたとしても、残った借入金の返済見通しが立たなければ再生計画は成り立ちません。
そこで「②キャッシュフローの視点」が登場します。
まず、再生計画を参考にして営業CFや増資、返済による毎年の現預金残高の動きをシミュレーションしてみました。
ポイントは以下の3つです。
(1)途中で資金繰り破綻しないか?
当面コロナ影響で赤字が続くことが想定されるため、今後、現預金が必要運転資金30億円を割り込んで円滑な事業継続に支障が出る状況は避けなければいけません。
金融機関は事業継続で残った借入金の全額回収を目指しているため、必要運転資金は維持しつつ今後の収益から返済を受けることになります。
したがって、現預金残高が底を打つ2022.12期末までは元金返済を行わず、2023.12期から返済を開始する計画を立てています。
(2)一定の期間内に完済できるか?
今回は10年以内に完済できるように返済計画が立てられています。
営業CFがプラスになる2023.12期から返済を始めるため、実際の返済期間は8年間になり、「借入金94億円÷年数8年≒年間返済額12億円」となります。
毎年12億円の返済を念頭に、逆算して事業計画を立てていくことになります。
(3)収益から無理なく返済原資を確保できるか?
再生計画はあくまでも計画のため、環境変化などで業績が下振れする可能性も大いに考えられます。
万が一の下振れリスクに備えて、毎年の返済額に対して多少の余裕を持ったキャッシュフローを稼ぐ計画が必要になります。
今回は「年間営業CF 18億円×約70%≒年間返済額 12億円」とバッファを持った計画となっていました。
今回のシミュレーションでは設備投資等は考慮していませんが、これまでに私が実際に関わった例では、営業CFに投資CFを加えたフリーキャッシュフローの8割程度を借入返済に回す計画が多い印象です。
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以上のように、再生計画は、純資産、収益、キャッシュフローや運転資金、設備投資、資金調達、返済額、期間など様々な要素のバランスを調整しながら組み立てられています。
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ところで普段、皆さまの会社ではどのように事業計画を立てていますか?
たとえば「5年後に目指したい姿」を想定し、売上や利益、キャッシュフロー、投資、財務、組織などの具体的な目標を設定して、そこから逆算して数値計画やアクションプランに落とし込むとします。
今回ご紹介した再生計画も、基本的には上記と同じ考え方です。
異なるのは、「5年後に目指したい姿」を自社だけで決めるのではなく、財務改善(債務超過解消)と借入金返済からの逆算も考慮して決める点です。
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再生企業でなくとも、中長期的に事業を安定して発展させるためには、金融機関との付き合いは避けられません。
金融機関の視点も踏まえて「5年後に目指したい姿」を描き、逆算して事業計画を立てることは、再生企業に限らず、金融機関と上手に付き合いたい会社にとって大事なポイントです。
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株式会社C&Aパートナーズ
代表 八木雄毅