【社外CFO通信64】会社のM&A価格はどう決まる?

こんにちは。八木です。

最近では、中小企業でも
M&Aが当たり前になってきました。

みなさんは、
M&Aを検討したことがありますか?

M&A仲介会社による営業や
案件の持ち込みが増え、
検討したことがある方も
多いのではないでしょうか。

検討する際にまず気になるのは、
「会社の価格」です。

会社には「定価」がありません。

さらに値付けする買い手によっても
違いが生まれます。

とは言え、考え方は共通なので、
M&Aを検討する際のモノサシとして
知っておくと役に立つ内容です。

まず、

会社の価格は「2階建て」

になっています。

つまり、

=======
【1階】「資産と負債の時価」
【2階】「営業権」
=======

の合計が、
会社の価格になります。

————-
【1階】「資産と負債の時価」
————-

M&Aの基本的な考え方は、

「会社の資産と負債を時価で買う」

です。

通常、資産はプラスの価値、
負債はマイナスの価値になるので、
資産から負債を差し引いた金額が
会社の価格になります。

たとえば、

資産(時価)が3億円で、
負債(時価)が2億円の会社の場合、
差引1億円が、
会社の価値になります。

貸借対照表で見ると、
純資産が資産から負債を引いた金額ですが、

決算書に書いてある数字は、
簿価(帳簿価格)であり、
時価ではありません。

決算書の中身を詳細に調査し、
簿価を時価に引き直します。

代表的な項目としては、

・回収できない売掛金を差し引く
・価値の落ちた在庫を減価する
・設備の償却不足分を差し引く
・不動産を時価に置き換える
・退職金債務を負債に追加する

などが挙げられます。

このような計算を経て、

【1階】「資産と負債の時価」

が決まります。

これは

「現時点までで積み上げてきた
その会社の価値」

とも言え、

誰が評価しても
大きな差は生じにくいです。

買い手によって差が生じるのは
次の2階部分になります。

————-
【2階】「営業権」
————-

次に、

「将来、生み出すであろう価値」

を、先ほどの1階部分に上乗せします。

これが、

【2階】「営業権」

です。

将来、生み出すであろう価値を
厳密に算定することは困難なため、

「営業利益の数年分」のように
過去の実績から概算で計算します。

上場企業であれば、
事業計画を立てて、
DCFで企業価値を算定しますが、

実務上、中小企業の場合は
わかりやすさを重視して、
「営業利益の数年分」で考えます。

1階部分は誰が評価しても
差がつきにくい
とお伝えしましたが、

2階部分は買い手によって
評価に差がつきます。

たとえば、

営業利益2千万円の会社
があるとして、

「変動が大きな業界なので、
1年分の2千万円しか
上乗せできない。」

「利益の安定した業界なので
2千万円×3年分=6千万円を
上乗せしてもいい。」

「うちが買えば
利益を倍にできるので、
2千万円×2倍×3年分
=1億2千万円を
上乗せしてもいい。」

など、大きな差がでます。

————-

このように

【1階】「資産と負債の時価」
【2階】「営業権」

をそれぞれ計算し、
その合計が会社の価格になります。

たとえば、

【1階】「資産と負債の時価」
が1億円

【2階】「営業権」
が6千万円

なら1億6千万円となります。

当然、売り手側の希望もあるので、
売り手と買い手の交渉によって、
最終的な価格が決まります。

具体的な検討段階では
専門家の助けを借りながら、
金額を計算していきますが、

経営者自身が
財務の考え方を理解していると、
スムーズに検討を進めたり、
交渉を有利に進めたりできます。

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最後までお読みいただき、
ありがとうございます。

あなたのビジネスを発展・成長させる
ヒントになれば幸いです。

株式会社C&Aパートナーズ
代表 八木雄毅

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