【社外CFO通信36】銀行が求める事業計画書とは?
こんにちは。八木です。
みなさんは、銀行から、
「事業計画を出してほしい」
と言われたことはありますか?
あるいは、
「事業計画を出したのに、
あれこれ注文を付けられた」
という経験はありませんか?
銀行が求める事業計画書には、
ポイントがあります。
それは、
「数字の分解と裏付け」
です。
このポイントは、
銀行のためだけではなく、
自社で実際に使える事業計画を
つくる上でも大切な着眼点です。
銀行の担当者は、
受け取った事業計画をもとに、
上司や本部へ提出する
稟議を書きます。
当然、稟議に書くのは
担当者の気持ちではありません。
融資先の将来の見通しと
その根拠について、
数字を用いてロジカルに説明
しなければなりません。
そこで
「数字の分解と裏付け」
が大切になります。
今回は「売上」に絞って、
ポイントをお伝えします。
1.売上を分解する
事業計画では、売上を伸ばす
計画が多いと思います。
よく見かけるのは、
2024/3期 500百万円
2025/3期 550百万円
2026/3期 600百万円
のように、売上の合計額だけ
を書いた計画です。
ざっくりと、毎年50百万ずつ
売上を増やす計画ですが、
これだけでは、
毎年50百万円ずつ増える
売上の中身がわかりません。
社長が口頭で補足説明しても、
銀行担当者が数字に落とし込み、
稟議に書くのは困難です。
まずはやることは、
・事業別売上
・顧客別売上
・商品別売上
などのカテゴリーで売上を分解し、
売上を内訳を見える化します。
業界によっては、
「数量×単価」
に分解することで、
変化が伝わりやすくなる
場合もあります。
年間50百万円の売上アップを
目標として掲げるのはOKですが、
計画では数字を分解して、
内訳を見える化します。
内訳を見える化した上で、
次のステップに進みます。
2.実現できる根拠を示す
次に、
その売上を実現できる
「根拠」を示します。
根拠と言っても、
当然、未来はわかりません。
経営者自身が
「何を拠り所に計画を考えたのか?」
を根拠として再整理する
イメージです。
具体的な方がわかりやすいので、
いくつかのパターンを
実際に書き出してみました。
——————-
① 過去の実績
過去の実績まで回復する
というストーリーです。
過去の実績の範囲内なので、
実現可能性を理解しやすいです。
(例)
「A社向け売上は
3年前には50百万円あった。
前期は30百万円に落ち込んだが、
今期は在庫調整が終わり、
45百万円まで回復する見込み。」
② 実績からの延長線上
既に一部でも実績が出ていると
その延長線上での計画として
理解しやすくなります。
(例)
「今期、B社から10百万円の
追加受注を見込んでおり、
今月までで既に2百万円受注済。
このペースでいけば
年間10百万円は堅い。」
③ 顧客の計画
顧客の生産計画などを
根拠に計画を立てる方法です。
過去の生産計画と実績の差を踏まえ、
計画を立てる必要があります。
(例)
「大口顧客のC社が、前年比
20%UPの生産計画を立て、
当社にも協力依頼がきている。」
④ 内示・商談の進展
目標達成のプロセスを分解し、
進捗状況を示すことも
実現可能性を伝える有効な方法です。
(例)
「今期、D社から20百万円の
追加受注を見込んでいる。
10百万円は既に内示があり、
残りも見積を提出して商談が
順調に進んでいる。」
⑤ 具体的な活動内容(施策)
売上増を実現するための
具体的な活動内容(施策)を
明示します。
(例)
「昨年、ベテラン営業を1名採用。
今期から本格的に戦力化するため、
20百万円の売上増を見込む。」
「今期リニューアルするE商品の
販売キャンペーンを実施する。
テスト販売の実績も踏まえて、
チラシ1万枚×10%=1,000個、
1,000個×@1万円=10百万円
の売上増を見込む。」
「休眠顧客の掘り起こしをする。
100社にアプローチして、
5社×平均2百万円=10百万円
の売上増を見込む。」
——————-
このように、
事業計画を立てる際は、
「数字の分解と裏付け」
に注意してみてください。
銀行のためだけでなく、
計画を社内で実行するためにも
今回ご紹介した考え方は有効です。
みなさんも、自社の計画を
点検してみてはいかがでしょうか。
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