【社外CFO通信85】銀行返済をリスケしたらどうなるの?
こんにちは。八木です。
銀行返済のリスケを検討中、
という方の相談があったので、
考え方を整理してみました。
「うちの会社には関係ない」
という方が大半と思いますが、
いざというときに会社を救うのは、
日頃からの備えです。
※「銀行」には信用金庫や信用組合、
政府系金融機関を含みます。
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1.銀行返済リスケとは?
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銀行の借入金返済の
返済条件を変更することです。
緊急避難的な対応として、
最初の半年〜1年間は
返済額ゼロにして、
その後、業績回復に応じて
返済額を増やしていく流れが一般的です。
融資契約の変更になるので、
当然、銀行内部の稟議を経て、
条件変更契約書などを締結します。
銀行は、
「業績悪化などで足元は厳しいが、
リスケで当面の資金繰りが回れば、
いずれ業績回復して返済再開できる」
という見通しを前提に
リスケを承諾します。
目先の資金繰りが厳しいから
リスケしてほしい、ではなく、
今後の返済再開に向けた見通しも
伝える必要があります。
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2.リスケ検討の順番は?
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まず資金繰り表を作り、
必要な手元資金の
最低ラインを把握します。
そのうえで早めに
追加融資を銀行に相談します。
本来は5,000万円必要だが
1,000万円しか借りられない場合
どうするか?
1,000万円で半年以上
資金繰りが維持できるなら、
借りてもOKですが、
1~2ヵ月程度で追加融資が必要なら
融資は受けずにリスケを検討します。
1~2ヵ月程度では、
銀行の融資判断は変わらないため、
その後の追加融資は見込めません。
融資を受けた直後にリスケすると
当然、その銀行と揉めます。
「必要な手元資金を把握し、
融資でカバーできない場合は、
リスケを検討する」
という流れになります。
方針を検討する際には
まずはメインバンクと相談し、
理解を得ながら進めます。
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3.注意点
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借入をしている銀行は、
全て同じ返済条件にします。
(返済額や返済期間など)
A銀行はリスケするけど、
B銀行はしない、は通りません。
通常、毎月の返済額は
銀行別の融資シェアで案分します。
(プロラタ方式と言います)
また、銀行ごとの条件が変わるため、
担保や保証の追加は行いません。
条件変更の際には、
契約手続きを確実にしましょう。
契約手続が遅れると延滞になり、
延滞が3ヵ月間続くと、
銀行は保証協会に代位弁済請求でき、
とても面倒になります。
また、返済を止めるのは元金だけで
金利は支払い続けます。
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4.リスケ依頼時の提出書類例
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①条件変更の依頼文書
依頼条件を明確に伝え、
各行の足並みを揃える。
②資金繰り表
以下の2点を準備する。
<リスケなしシナリオ>
まず、リスケしない限り
資金ショートしてしまうことを伝える。
<リスケありシナリオ>
リスケすれば当面の資金繰りは
問題なく回る見通しを伝える。
③試算表
銀行内の稟議に必要な情報。
直近の業績を伝える。
④銀行取引一覧表
銀行内の稟議に必要な情報。
全行横並びで対応していることを説明。
⑤返済計画案
今後の業績改善と返済見通しを伝える。
リスケ依頼時は簡単なものでOK。
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5.リスケ後、どうなる?
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原則として新規借入を
受けられなくなります。
新たな銀行からの融資も
期待できません。
借入がある銀行の定期預金は
全て使えなくなります。
(担保設定していなくても)
手元資金がギリギリになってから
リスケすると手遅れです。
新規融資なしでも
当面資金繰りが回る程度の
資金を残した上でリスケする
必要があります。
リスケ後は、半年~1年ごとの
融資契約見直しになります。
銀行から、様々な資料の提出も
求められるようになります。
銀行とのやり取りや
手続きが増える覚悟が必要です。
——–
6.どうやってリスケ脱出する?
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たとえば、
少なくとも月50万円程度の
収益力が見込める場合、
リスケ中は、
「返済額≦収益力」
と考え、
・毎月の返済額50万円(年間600万円)
・1年後に残金○○万円を一括返済
という返済条件になります。
リスケを脱却して
銀行取引を正常化しようとすると、
たとえば、
・借入金3億
・正常運転資金2億
としたら、
借入金3億から正常運転資金2億を
引いた1億円を5〜7年程度で
返済する計画が必要になります。
仮に返済期間5年とすると
1億円÷5年間=年間2,000万円
となり、
月約170万円の返済額を
カバーできる収益力が必要です。
リスケ以前は、
折り返し融資を前提に借入するので、
「返済額>収益力」
でも問題はありませんが、
リスケ後は、当面の
折り返し融資を想定できず、
収益力から返済する前提となり、
「返済額<収益力」
が求められます。
特にリスケ後に大きな投資や
支払いが必要な場合は注意が必要です。
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7.平時から備えること
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以上を踏まえ、
「いまは関係ない」という方も
以下をチェックしてみてください。
・手元資金の最低ラインを決め、
余裕をもって資金を持っておく
・毎年、事業計画を提出して
銀行から計画的に融資を受ける
・2~3年後を見据えて
借入を計画する
・メインバンクを決めて
日頃から信頼関係を構築しておく
・業績悪化の見通しがあるなら
早めに借入しておく
——–
ここまでご説明した内容は
基本的な考え方です。
会社の業績や借入金状況、
取引している銀行次第で
実際の対応は変わります。
気になる方は個別にご相談ください。
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最後までお読みいただき、
ありがとうございます。
あなたのビジネスを発展・成長させる
ヒントになれば幸いです。
株式会社C&Aパートナーズ
代表 八木雄毅
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