【社外CFO通信17】債務超過の会社、どう買ったらいい?

こんにちは。八木です。

先日、ある経営者と
「債務超過の会社って買えるの?」
の話になりました。

中小企業のM&Aが増え、
「こんな会社、買いませんか?」
と提案を受ける会社も
増えていると思います。

そんな中で、

・付き合いのある経営者から
「後継者もいないし、
会社を引き継いでもらえない?」
と相談された。

・事業には魅力があるが、
借金が多いようで、
二の足を踏んでいる。

という声も耳にします。

以前のメルマガでも
お伝えしましたが、

中小企業のM&Aでの
買収価格の目安は、

「時価純資産+営業利益×3年分程度
=株式価値」

です。

(ご参考)【社外CFO通信14】中小M&Aでの買収価格の考え方は?
https://ca-p.co.jp/2023/02/2-4/

借入の金額に関わらず、
この原則は変わりません。

1.借金が多い会社の着眼点
借入金の多さではなく、

①時価純資産はいくらか?
②利益はいくらか?

がポイントになります。

「借金が多い会社」の場合、
まずは以下を確認します。

①時価純資産はいくらか?

まず、純資産とは、
資産から負債を引いた金額です。
(純資産=資産-負債)

貸借対照表の
「純資産の部」
の金額です。

時価純資産とは、
時価に引き直した資産と負債から
計算した純資産です。

たとえば、
見込み通りに売れない在庫があれば、
その分だけ時価純資産が
減る計算になります。

資産よりも負債の方が多く、
純資産がマイナスの状態を
「債務超過」
と呼びます。

債務超過の会社の場合、

「時価純資産+営業利益×3年分程度
=株式価値」

のうち、

「時価純資産」

の部分がマイナス

ということになります。

②利益はいくらか?

赤字の会社の買収を検討する場合、
「いま赤字だったとしても
黒字化できる見込みがある。」
という前提で、検討するはずです。

買収前は赤字でも、

・買収後に経営方針を
転換して黒字化する。

・自社とのシナジー効果で
トータルで収益アップする。

などは、実際によくある話です。

とは言え、
現状が赤字の場合、

「時価純資産+営業利益×3年分程度
=株式価値」

のうち

「営業利益」

の部分に金額を入れるのは、
納得しづらいはずです。

2.債務超過&赤字の場合
以上をまとめると、

「債務超過」かつ「赤字」
の会社の場合、

「時価純資産+営業利益×3年分程度
=株式価値」

が「マイナス」になってしまいます。

いくら黒字化の見込があっても、
資産よりも負債の方が大きい
会社をそのまま買えません。

そこで検討したいのが、

必要な資産と負債のみを
ピックアップして
引き継ぐ方法
です。

会社分割や事業譲渡と
呼ばれる手続
です。

一般的なM&Aは、
株式譲渡と呼ばれる手続で
株式を買い取り、
会社を丸ごと引き継ぎます。

会社分割や事業譲渡であれば、
過剰な負債は引き継がないので、
債務超過の会社でも
経営を引き継ぎやすくなります。

実際に、
債務超過の会社の売却では
よく使われている手法です。

3.実際の難所は?

実際に検討する際の難所は、

①手続が複雑で手間暇かかる
②売り手経営者の理解と決断が必要

の2点です。

①手続が複雑で手間暇かかる

株式譲渡であれば、
株主同士で株式譲渡契約を
締結すれば実行できます。

会社分割や事業譲渡の場合は、
・対象事業や資産、負債の選定
・債権者への配慮
・従業員の引継ぎ
・契約書の作成
など、複雑な手順を
クリアしていく必要があり、
専門家の助けが必須です。

②売り手経営者の理解と決断が必要

会社分割や事業譲渡の場合、
売り手側には引き継がれなかった
事業や資産、負債が残ります。

通常、不採算事業や
銀行からの借入金が残ります。

売り手側では、
資産と負債の切り売りだけでなく、
残る負債の整理方法もセットで
事前に検討します。

債務超過の会社の場合、
資産よりも負債が多く、
借入金が残るため、
借入金の一部カットを
銀行と協議する
ことになります。

銀行との協議に関しては、
時間はかかりますが、
きちんと手順を踏み、
経済合理性を示すことで、
クリアできます。

ここで最も障害になるのが
オーナー経営者の
経営者保証
です。

借入金の一部カットと同時に、
連帯保証人である社長は
私財での借入返済が求められます。

最近では
経営者保証ガイドラインの活用等で、
自己破産は回避できますが、

長年かけて築き上げた自分の会社を
切り売りして、かつ
大半の私財も失うのは、
非常につらい決断です。

そんな中でも、
「このまま会社を倒産させて
社員や取引先に迷惑をかけるなら・・」
と、決断される経営者がいるからこそ、

会社分割や事業譲渡によって、
債務超過の会社が次世代に
引き継がれていきます。

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今回、
まずは「こういう選択肢がある」
と知っていただくことで、
みなさんのビジネスチャンスが
広がればと考え、
このテーマを取り上げました。

同時に、
債務超過の会社を引き継ぐ方法を
広めていくことが、
業績悪化で苦しむ会社を
救うことにもつながります。

実際に、
「こんな話がきてるけど、
どんな方法がある?」
など、
お気軽にご相談ください。

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最後までお読みいただき、
ありがとうございます。

あなたのビジネスを発展・成長させる
ヒントになれば幸いです。

株式会社C&Aパートナーズ
代表 八木雄毅

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