【社外CFO通信86】うなぎ屋チェーンの収益モデル

こんにちは。八木です。

「鰻の成瀬」というお店を
ご存知ですか?

2022年9に1号店を出店し、
現在全国200店舗を構える
うなぎ屋チェーンです。

7/24付日経電子版の記事を参考に、
収益構造を分解してみました。

長文になりますが、
事業採算や管理会計の検討例として
一緒に数字を追ってみてください。

1.同社の概要(記事より)

・店舗数228店
・フランチャイズ加盟企業120社
・個人オーナー48名
・メニューは梅1,600円、竹2,200円、松2,600円
・注文から10~15分で提供
・原価率40%。
・中国などで養殖したニホンウナギをかば焼の状態で輸入
・店舗では専用の機械で焼き上げる
・営業時間11~14時、17~20時
・人件費比率20%以内
(一般的な外食産業では30%程度)
・ホール1名とキッチン1名の2名体制で運営
・冷凍ウナギと米で廃棄ロスが発生しづらい
・立地は駅から徒歩10分ほどの三等地や住宅街
・家賃は売上の7%程度が目安
・都心の店舗は50~60㎡
・売上不振でも月20~30万円の赤字で収まる仕組み
・1店舗当たり平均売上高5,000万円、営業利益率15%
・9割の店が黒字
・国内での展開は300店舗を上限に一旦止める計画

*日経電子版
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC087EF0Y4A700C2000000/

2.収益構造

記事によると
下記の収益構造を想定し、
実際に9割の店が黒字だそうです。

売上高5,000万円
変動費(原価)2,000万円(40%)
限界利益率3,000万円(60%)
固定費2,250万円
うち人件費:1,000万円(20%)
うち家賃:350万円(7%)
うちその他:900万円
営業利益750万円(15%)
法人税300万円(実効税率40%)
当期純利益450万円

*実効税率:40%と仮定

3.売上高の分解

年売上高5,000万円

月当たり
5,000万円÷12ヵ月≒416万円

1日当たり
416万円÷30日≒14万円

1h当たり
14万円÷6h≒23,000円

1h当たり客数
23,000円÷平均単価2,200円≒11名

座席稼働率稼働率
11名÷平均座席数21席≒0.53回転

*営業日数:月30日想定
*平均単価:松竹梅の平均を使用
(実際は飲み物含むのでもう少し高い)
*平均座席数:大阪府内15店舗の平均
(ウェブサイトから計算)
*平均滞在時間:1hと仮定

営業時間を昼と夜に絞り、
注文から10~15分で商品提供する
オペレーションと考えると、

常に半分の座席が埋まった状態は
現実的な売上計画と感じました。

4.変動費(原価)について

1食当たり:2,200円×40%=880円

店舗側では、

・お酒などの飲料追加販売を増やす
・高価格メニューを選んでもらう

などが原価率引き下げに
つながりそうです。

このビジネスの生命線は、
ウナギ安定調達です。

中長期的に持続できるかは
安定した品質とウナギを
この価格水準で調達できるかに
かかっていると感じました。

5.固定費の分解

①人件費

年1,000万円÷12ヵ月
≒月83万円

月83万円÷30日
≒一日当たり27,700円

一日当たり27,700円
÷勤務時間9h÷2名≒
平均時給1,500円

*勤務時間:営業時間6h×1.5倍と仮定
*人数:記事より2名と仮定

年1,000万円の範囲内とすると、
社員1名+パート2~3名の
シフト制が現実的かもしれません。

個人経営でオーナー自身が
店舗運営をする場合には、
年収500~600万円程度が
上限ではないでしょうか。

②家賃

月当たり
年350万円÷12ヵ月
=月29万円

坪単価
29万円÷面積17坪(55㎡)
≒17,000円

*面積:記事を参照して仮定

私には不動産の土地勘はありません。
この水準はいかがでしょうか?

③その他

記事には情報がないため、
固定費総額から人件費と家賃を
引いた金額をその他としました。

年900万円÷12ヵ月=月75万円

設備の減価償却やリース料、
水道光熱費、消耗品費、金利などが
含まれると思われます。

6.損益分岐点売上高

「2.収益構造」を
逆算してみました。

営業利益0万円(15%)
固定費2,250万円
うち人件費:1,000万円(20%)
うち家賃:350万円(7%)
うちその他:900万円(差額より)
限界利益:2,250万円
変動費1,500万円(原価率40%)
損益分岐点売上高3,750万円
(=5,000万円×25%減)

売上高が想定を25%下回っても
トントンと考えると、
比較的余裕があると感じます。

実際に
・原価率上昇
・人件費上昇
を例に、利益がどう動くか、
感度分析してみましょう。

7.原価率上昇したら?

ウナギ価格上昇や円安などで
原価が2割上昇した場合に
利益がどうなるか?

売上高5,000万円
変動費(原価)2,400万円
(=当初想定2,000万円×1.2倍)
限界利益率2,600万円(60&→52%)
固定費2,250万円
営業利益350万円(15%→7%)
法人税140万円(実効税率40%)
当期純利益210万円
(≒当初想定450万円比53%減)

まだ黒字は維持できます。

8.人件費が上昇したら?

人件費が2割上昇した場合の
損益分岐点売上高は・・・

売上高5,000万円
変動費(原価)2,000万円(40%)
限界利益率3,000万円(60%)
固定費2,450万円
うち人件費:1,200万円(20%)
(=当初想定1,000万円×1.2倍)
うち家賃:350万円(7%)
うちその他:900万円
営業利益550万円(15%→11%)
法人税220万円(実効税率40%)
当期純利益330万円
(≒当初想定450万円比27%減)

まだ黒字は維持できます。

9.原価率と人件費がどちらも2割上昇したら?

売上高5,000万円
変動費(原価)2,400万円
(=当初想定2,000万円×1.2倍)
限界利益率2,600万円(60&→52%)
固定費2,450万円
うち人件費:1,200万円(20%)
(=当初想定1,000万円×1.2倍)
営業利益150万円(15%→3%)
法人税60万円(実効税率40%)
当期純利益90万円
(≒当初想定450万円比80%減)

ギリギリ黒字ですが、
余裕がなくなってきました。

10.投資回収と利回り

仮に初期投資2,000万円と仮定すると、

初期投資:2,000万円
年間利益:450万円(当期純利益)
投資回収:2,000万円÷450万円≒4.5年
利回り:450万円÷2,000万円≒22%

*初期投資2,000万円は仮定
*利回りはキャッシュフローではなく利益で計算
*追加投資は考慮していない

魅力的な投資にも見えますが・・・

実際はどうなのでしょうか?

ぜひ[[name1]]さんのご意見を
教えてください。

まとめ

このように収益モデルを数値化すると
様々なことに気付きます。

具体的なリスクや課題がわかれば
事前に手を打つこともできまし、
理解した上で判断できます。

ぜひご自身のビジネスでも
数値化してみてはいかがでしょうか。

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最後までお読みいただき、
ありがとうございます。

あなたのビジネスを発展・成長させる
ヒントになれば幸いです。

株式会社C&Aパートナーズ
代表 八木雄毅

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