【社外CFO通信30】キャッシュフロー計画を立てる具体的な手順

こんにちは。八木です。

みなさんの会社では、
「キャッシュフロー計画」を
立てたことはありますか?

多くの会社で
売上計画や利益計画は立てても、
キャッシュフロー計画は
立てていません。

キャッシュフロー計算書の作り方を
説明した本は数多くありますが、
計画の立て方を書いた本は
意外と見かけません。

利益計画があれば、、
「キャッシュフロー計画」は
実は、あと一息で作れます。


キャッシュフロー計画を立てると、

・売上計画や利益計画では見えない
「お金の流れ」が見通せます。


・何にいくらお金を使うか?
格段に判断しやすくなります。


・「利益≠お金」になる原因がわかり、
必要なお金を残す見通しが立ちます。


これがあるかないかでは
大違いです。

細かく解説したため長文ですが、

順番に数字を入れていけば、
足し算と引き算だけで、
あなたの会社の
「キャッシュフロー計画」を
立てることができます。


私自身も、様々な会社で
キャッシュフロー計画を立てる際は、
実際にこの手順で立てています。

他にも細かな論点はありますが、
この内容で8割はカバーできています。

まずはざっくりと
大枠を捉えてみてください。

キャッシュフロー計画を立てる
具体的な手順


キャッシュフローは、
1年間の「会社のお金の流れ(増減)」

のことです。

まず、
会社のお金の流れを分類する
「3つの箱」
を用意します。

「3つの箱」とは
①営業CF
②投資CF
③財務CF

です。
※CF=キャッシュフローの略

①+②+③の合計が
1年間の会社のお金の増減
です。

以下の3ステップで、
キャッシュフロー計画を作っていきます。


————-
【ステップ1】
①②③に仮の数字を入れる

【ステップ2】
検討課題を洗い出す

【ステップ3】
修正して完成
————-


今回記載する数字の単位は
全て「百万円」です。

【ステップ1】
①②③に仮の数字を入れる


①~③まで順番に
予定額を入れていきます。

①営業CF


①営業CFの主な内訳は
以下5項目の合計です。
①-1 当期純利益
①-2 減価償却費
①-3 売掛金の増減
①-4 在庫の増減
①-5 買掛金の増減

ぞれぞれ順番に金額を
入れてきます。

————-

①-1 当期純利益


利益計画の金額を入れます。

①-2 減価償却費


利益計画の金額を入れます。
顧問税理士さんに
「今期の減価償却予定額を教えて」と
頼めば教えてもらえます。

①-3 売掛金の増減


「売掛金が増える=
現預金が売掛金に姿を変えた
=現預金が減った」と考えます。

前期の決算書から
「前期売掛金残高÷前期平均月商
=売掛金回転期間」を計算します。

売上計画から「平均月商
×(上記の)売掛金回転期間
=期末売掛金残高」を計算します。

「期末売掛金残高−前期売掛金残高
=売掛金の増減」を計算します。

先述の通り「売掛金が増える
=現預金が減った」なので、
売掛金の増減を
マイナスにした金額を入れます。

なお、受取手形がある会社は
「受取手形+売掛金」で計算します。

<A社の例>

「前期売掛金残高40
÷前期平均月商40
=売掛金回転期間1ヵ月間」
を計算します。

売上計画から
「平均月商50
×(上記の)売掛金回転期間1ヵ月間
=期末売掛金残高50」を計算します。

「期末売掛金残高50−
前期売掛金残高40
=売掛金の増減10」

マイナスにして「△10」
になります。

①-4 在庫の増減


「在庫が増える
=現預金が在庫に姿を変えた
=現預金が減った」
と考えます。

以下、売掛金と同様の計算をします。

<A社の例>

「前期在庫残高120
÷前期平均月商40
=在庫回転期間3ヵ月間」
を計算します。

売上計画から
「平均月商50
×(上記の)在庫回転期間3ヵ月間
=期末在庫残高150」
を計算します。

「期末在庫残高150
−前期在庫残高120
=在庫の増減30」

マイナスにして「△30」
になります。

①-5 買掛金の増減


「買掛金が増える
=買掛金の分だけ支払いを後ろ倒しできた
=現預金が増えた」
と考えます。

以下、売掛金と同様の計算をしますが、
「買掛金が増える
=現預金が増えた」
なので、

買掛金の増減を(マイナスにせず)
そのままの金額を入れます。

なお、支払手形がある会社は
「支払手形+売掛金」で計算します。

<A社の例>

「前期買掛金残高80
÷前期平均月商40
=買掛金回転期間2ヵ月間」
を計算します。

売上計画から
「平均月商50
×(上記の)買掛金回転期間2ヵ月間
=期末買掛金残高100」
を計算します。

「期末買掛金残高100
−前期買掛金残高80
=買掛金の増減20」

結果「+20」になります。

②投資CF


②投資CFの主な内訳は
「設備投資」です。

②-1 設備投資


投資予定額を入れます。

リースや割賦など分割払いの場合は
利益計画に入れます
(設備投資には入れません)

③財務CF


③財務CFの主な内訳は、
「新規借入額」と「借入返済予定額」です。

③-1 新規借入額


年間の借入予定額を入れます。

まずは毎年の借り換え予定額のみ入れ、
他の数字を全て埋めてから、
必要な金額に修正します。

③-2 借入返済予定額


返済予定表をもとに
年間返済額を入れます。

利息は損益計画に入っているので、
ここでは元金返済額のみです。

①+②+③=年間CF

以上で①~③に
全て数字が入りました。

①+②+③が
1年間の全てのお金の増減
(年間CF)です。


最後に、

「期首現預金残高+年間CF
=期末現預金残高」

に数字を入れると、
1年を終えて残るお金が
いくらか計算できます。

<A社の例>

①営業CF:+20

(内訳)
当期純利益+30
減価償却費+10
売掛金の増減△10
在庫の増減△30
仕入債務の増減+20

②投資CF:△50

(内訳)
設備投資△50

③財務CF:+10

(内訳)
融資額:+50(設備借入)
借入返済予定額:△40

①+20+②△50+③+10
=年間CF△20


期首現預金残高100+年間CF△20
=期末現預金残高80


これで成行きでの
着地見込みがわかりました。

【ステップ2】
検討課題を洗い出す


ステップ1で作成した数字を見ながら、
改善点を検討します。

ここでは、
上記の<A社の例>の場合の
検討課題を考えてみます。

・売上増加も踏まえ、
期末現預金残高は120ほしい
(あと40お金を増やしたい)

・収益計画を見直して、
当期純利益を+10増やせないか?

・在庫を見直して
増加額を△10減らせないか?

・上記も取り組みつつ、
バッファ分も含め、
銀行に新規借入を30を相談しよう。


このように、
キャッシュフロー計画の
数字を見ることで、
具体的な改善点を検討できます。

【ステップ3】
修正して完成


【ステップ2】での
検討結果を反映します。

<A社の例(続き)>

①営業CF:+40

(内訳)
当期純利益+40(+10)
減価償却費+10
売掛金の増減△10
在庫の増減△20(+10)
仕入債務の増減+20

②投資CF:△50

(内訳)
設備投資△50

③財務CF:+40(+30)

(内訳)
融資額:+80(設備借入)(+30)
借入返済予定額:△40

①+40+②△50+③+40
=年間CF+30


期首現預金残高100+年間CF+30
=期末現預金残高130(△+50)


これでキャッシュフロー計画が
完成しました。

計画通り取り組めば
年間でお金が+30増える
ことが分かったので、

お金のことを気にせず、

・当期純利益+40
・在庫削減△10
・設備投資+50(全額借入)
・追加融資+30

の実現に集中できます。


さらに、
今年1年分だけでなく、
将来3年分程度つくってみると、
お金の見通しを持て
やるべきことも整理できます。


==========

ざっくりとでもいいので、
実際に数字を入れて作ってみる
ことをオススメします。

「利益≠お金」になる原因がわかり、
必要なお金を残す見通しが立つはずです。

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最後までお読みいただき、
ありがとうございます。

あなたのビジネスを発展・成長させる
ヒントになれば幸いです。

株式会社C&Aパートナーズ
代表 八木雄毅

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